肩の痛み ①五十肩 【和歌山市・雄湊 畠中整骨鍼灸院】
・肩が上がりにくい
・動かしても動かさなくても痛い
と感じたことはありませんか?当院にはそんな悩みを持つ患者さんがよく来院されます。
このページをご覧いただいたということはあなたもそんな悩みを抱えているのではないでしょうか。
このページでは五十肩について、痛みと可動域制限を改善するための治療法を中心に紹介します。
40代以降に多い肩の痛み「いわゆる五十肩」とは
40代以降の人が悩まされる肩の痛み、〝いわゆる五十肩〟
50歳代を中心とした中年以降、肩関節周囲の組織の退行性変化を基盤として、明らかな原因なしに発症し、肩関節の痛みと運動障害を認める疾患群と定義されています。
五十肩には特に誘因が認められないことが多く、
ときに軽微な外傷の繰り返しの後に肩の不快感や疼痛で発症します。
肩の関節というのは上腕骨、肩甲骨、鎖骨の3つの骨で支えられ、肩を大きく動かすために肩甲骨のくぼみが小さくなっていて、上腕骨のはまりが浅くなっています。これだけでは構造的に不安定なので関節包、つまり骨を包んでいる袋や腱板によって強度を高めています。
そのため、肩の酷使(使いすぎ)によって炎症や損傷が起こりやすく、痛み、可動域の制限が起こると考えられています。また肩関節の炎症は、肩峰下の滑液包や関節周囲の筋肉に広がることがあり、このような肩関節周囲炎が前述したいわゆる五十肩と別に、狭義の五十肩と呼ばれます。
肩に痛みをもたらすのは他にもあります。他の疾患との鑑別が重要です
五十肩は通常、片側にだけ発生し、回復後に同側に再発することはほとんどないため、強い肩の痛みを繰り返して訴える場合は、他の疾患との鑑別が必要です。
腱板断裂、石灰性腱炎、変形性肩関節症、絞扼性神経障害、頸椎疾患、神経原性筋萎縮症、腫瘍性疾患、内臓からの関連痛などを、問診、診察・理学所見、画像診断(単純X線撮影、MRI、超音波検査・関節造影など)から鑑別します。
当院で出来る徒手検査以外に画像診断が必要な場合、当院から医療機関への紹介状を発行します。
特に、痛みが長引くときは腱板断裂を疑います。
五十肩と腱板断裂では痛みの現れ方が違うことが多く、
わかりやすい例をあげると、五十肩では腕を上げる途中に痛みがなく「これ以上は上がらない」という動きの最後の時点で痛みが起こることが多く、腱板断裂では腕を上げる途中に痛みが起こることが多いです。
腱板断裂を放置しておくと腱板や周囲の筋肉がやせたり断裂が広がってしまい、日常生活に支障をきたしてしまいますので、早期発見が重要です。
自分の判断だけではいけません。お近くの医療機関か当院にお越しください。
五十肩による痛みと可動域制限
五十肩は症状から三段階に分けられ、
一般に発症から約2週間の急性期、その後約6ヵ月間の慢性期を経て回復期に至ります。
急性期
運動制限を引き起こす運動時痛に加えて安静時痛や夜間痛も出現します。
徐々に関節拘縮が起き、肩の可動域が制限されてしまいます。
慢性期
徐々に痛みが軽減し始め、日常生活でも痛い肩をかばう必要がなくなりますが、まだ可動域制限は残存します。回復期には可動域制限がまだ残るものの、痛みが少なくなってきたために徐々に可動域が自然回復します。
これらの回復には1年前後を要するとされていますが、一方で何の治療もしない場合は平均約7年後にも半数の患者に何らかの痛みや可動域制限が存在していたとの報告があります。
安静と患者の自然治癒力に任せるだけでなく、積極的に痛みと可動域制限を改善する治療が必要です。
肩の痛みを和らげ運動療法や鍼灸治療で可動域を改善
治療方針は2つ。すなわち、肩関節の痛みを和らげて、かつ可動域を改善すること。
鍼灸治療、運動療法、理学療法で改善することが多いので、ほとんどの症例で手術は必要ありません。手術の場合も侵襲性の低い関節鏡視下授動術などを選択できます。この場合も医療機関への紹介状を発行します。治療は数ヵ月以上にわたりますので、自発的な運動療法の継続が必要、
すなわち患者さん本人が積極的に治療に取り組むことが重要です。
可動域を改善する治療と運動療法
慢性期に入って痛みが弱まってきたら、肩関節の拘縮予防と可動域改善のために運動療法を開始します。
温熱療法により、肩を温めながら少しずつ動かします。痛みがほとんどなくなる回復期に入ったら、徐々に動きが良くなるのに合わせて、慢性期以上に積極的に肩を動かします。
基本的には患者さんが自宅で行える振り子運動という五十肩の体操を指導します。さらに通院にてリハビリを行います。
さらに、運動療法と同時に保温、血行の改善、痛みの除去、筋痙縮の軽減などを目的として、温熱・冷熱療法、鍼灸療法などを組み合わせます。
五十肩は痛みと関節可動域の制限から日常生活に支障をきたすつらい症状です。きっちり治療することが、40代以降のQOL、すなわち生活の質を高めるためにとても重要です。
気になることがございましたら、いつでもお問い合わせください。
【 参 考 文 献 】
1)佐藤毅ほか:骨・関節・靭帯 17(10):1079-1083, 2004
2)信原克哉:肩-その機能と臨床- 第3版:医学書院, 東京, 2001
3)Harryman DT Ⅱ, et al.:The Shoulder:Saunders WB, 1998
4)井樋栄二:きょうの健康(247):54-57,日本放送出版協会,東京,2008
5)Shaffer B, et al.:J Bone Joint Surg Am 74(5):738-746, 1992
6)井樋栄二[編]:やさしい肩の痛みの自己管理:医薬ジャーナル社, 東京, 2008
7)皆川洋至ほか:MB Orthop 17(7):9-11, 2004